日本の伝統芸能「能」。派手な衣装に化粧、銅鑼が鳴り響く中、激しく立ち回る中国の伝統芸能「京劇」。この「静」と「動」をひとつにした舞台作品を見た。演者は新潮劇院主宰の張春祥氏、能楽師の西村孝雄氏、京劇俳優の張桂琴氏。能も京劇も詳しくないが、開演前、明治大学の加藤徹教授によるユーモアを交えた分かりやい解説の時間が設けられていたので、より楽しむことができた。お客さんの中には、京劇も能も初めてという方がけっこういらしたそうだ。能は拍手をしない、京劇では見得をきったところで
「ハオ」という掛け声が飛ぶなどの決まりがあるというが、この日の舞台は、ルールを忘れ、お客さんが感動した場面で自然と拍手するスタイル。「能」や「京劇」の通常の舞台とは違う照明が施された不思議な空間で、新しい世界に触れることができた。